会議資料や上司に提出する資料を作成するとき、どんな資料を、どこまで、どうやって作成したら良いかわからない事がありますよね?決まったフォーマットや書式があれば良いのですが、何もないゼロスタートでは非効率でまとまりのない資料になります。
資料を作成するときは、型を持っておくと便利です。どんな内容でもまとめる形がイメージできれば、頭の中でも内容の整理ができますし、素早いアウトプットも可能となります。その型のベースとなる考え方が「A4用紙一枚にまとめること」です。日本有数の大企業トヨタの企業文化で「紙1枚にまとめて仕事をする」というものがあります。A4用紙という限られた中で情報をまとめることで、余計なものを削ぎ落とし、吟味されたよりシンプルなものになります。相手に伝えたいポイントを押さえて、しっかり伝わる資料を作成しましょう!
なぜA4用紙1枚でまとめるの?
相手に物事を伝えるには伝える側の考えがまとまっていなければなりません。多くの方が、報告する内容が多すぎて、一から十まで話さないと伝わらないと考えがちですが、受け取る側は「そんなに全部は聞いてられないよ!ポイントだけでいいんだよ!」と考えています。つまり、伝える側と受け取る側には考え方にギャップがあります。伝える側はそこを踏まえて、内容を伝えなければ、受け取る気にもなってもらえません。A4用紙という限られた中に内容をまとめる事は、自身がしっかり理解し、ポイントを絞って、言葉選び、データ選びまで慎重に吟味しなければまとめられません。伝える内容をいかにシンプルにまとめるかが重要となります。ここから資料作成するにあたっての進め方を説明していきます。
目的を明確にする
資料を作成する前に、その資料の目的を理解することが重要です。相手は誰なのか?内容は何か?(報告、提案、社内案内、企画、問題解決等)、相手に起こして欲しいアクションは何か?最低でもこの部分は明確にしておきましょう。できれば紙に書き出しておくと良いでしょう。書き出すことで頭の中の整理も出来ますし、資料で伝える相手にどのようなアクションを起こして欲しいのかがブレないようにできます。この資料を作成する目的をしっかり決めましょう。
書き出した内容から、目的が定まったら、資料の表題となる「テーマ」を決めます。「テーマ」は資料の内容を表す重要なものです。受け取った相手は、テーマを見た時点で内容を判断し、理解の方向性を決めます。相手の理解の方向性を間違えると期待した効果が出ず、アクションに繋がらない場合もあります。書き出した内容が分かるようにな一言を選ぶと資料全体の説得力もアップします。
相手が知りたいことは何かを考える
前提として人間は処理しずらい情報が嫌いです。分かりづらい、見づらい、無意味だと考える等の内容では、真剣に見てもらえません。そのためには相手ファーストで考えることが一番重要です。伝える側は自身が伝えたいことを解ってもらおうと必死に説明するので、内容ばかりが先行して、自分ファーストになりがちです。もしかしたら相手が知りたい内容は違うかもしれません。全く興味のない内容の資料を読むのは面倒ですし、苦痛になりますよね。結果、「何が言いたのかわからない。」、「聞きたい事が聞けない。」という話になります。
相手の立場や立ち位置から、相手が知りたいことを理解できなければ、期待したアクションを起こしてもらえない可能性が高くなります。目的達成のための資料なのに、ただの情報だけとなってはその資料の意味がなくなってしまいます。相手の疑問や普段の言動、投げかけにヒントがないか、自分がその立場なら何を知りたいかを調査し、よく考えて相手のアクションをイメージすると、分かりやすい資料が作成できるようになってきます。何かを伝える時には相手が知りたいことを理解することを常に意識しましょう。
前提条件の共有が重要
社内、社外と相手によって変わってくるのが、前提条件が同じかどうかです。相手の知識・認識のレベル、共通言語(専門用語など)、内容の理解度を踏まえて資料の内容をまとめる必要があります。前提条件が曖昧な場合は、専門用語や略語は使わず、一般的な表現を使い中学生でも理解できるレベルでのシンプルな表現にしましょう。限られた範囲でシンプルに表現することは、ストーリーや言葉選びを慎重に行わなければならないため、簡単にはいきません。しかし、その考え方を踏まえた資料作成や口頭の説明を繰り返すことで自然とシンプルな表現ができるようになっていきます。常に、シンプルな表現を心がけましょう。
5W1Hを意識する
資料のポイントを押さえる必須要素が、「5W1H」です。5Wとは「When:いつ」「Where:どこで」「Who:だれが」「What:何を」「Why:なぜ」、1Hとは「How:どのように」の頭文字をとったものです。コミュニケーションを円滑に行うフレームワークで、この要素を明確にすると、要点を具体的に伝える事ができ、相手にも分かりやすくなります。作成する資料の内容が何であれ、形を成す基本要素として入れ込んでおく事で伝わりやすい資料にする事ができます。
シンプルな型を持つ
資料を作成するコツは自身の型を持つ事です。資料を作成する度にゼロから作るのはとても非効率です。内容によって型を決めておく事で、作成する側は中身に集中でき、よりシンプルに分かりやすく表現することに注力出来ます。また、資料を受け取る側も、同じ型で内容がどういう構成になっているかわかりやすいので、理解しやすく、頭に入りやすくなります。理想はチームで共有の型を決めておくと良いです。理解スピードが格段に早まり、お互いが内容に集中することで生産性が上がります。
筆者も仕事で資料をまとめる際には、大枠のフォーマットを決め、その中に収まるよう情報を精査して作成しています。基本的なストーリーは決まっており、項目ごとに内容を練っていきます。


こんなシンプルなもので全て伝わるのだろうか?と思うかもしれませんが、大丈夫です。先にお話しした①目的を明確にする、②相手の知りたいことを考える、③前提条件を揃える、④5W1Hを明確にするの4つのポイントを押さえればシンプルで伝わる資料となります。
初めて作成するときは時間もかかり、うまく作れなくても、数をこなしていくこと、作成した資料の相手の反応から、わかりにくい所を修正することを繰り返し実施していくことで、よりシンプルで伝わる資料が作れます。
付属資料を準備しておく
A4用紙1枚に溢れた、関連情報や根拠となるデータの詳細は付属資料として準備しておきましょう。ただし、ただデータを一覧にした物や、関連情報だからとあれもこれも付属したのでは、せっかく厳選して作ったものが台無しになります。厳選した1枚を作り出したわけですから、関連情報も必要最低限で構いません。重要なのは一枚の紙を見て、相手が「さらに知りたいことは何か?」を考えることです。付属資料は説得力を上げるためのものということを理解し、無駄な情報をカットし、より深掘りされたものを準備するようにしましょう。
まとめ
物事を相手に伝える際には、シンプルにすることが前提です。A4用紙1枚のフォーマットを持つことで、内容がシンプルになり、より効率よく伝える事ができます。
まずは、「A4用紙1枚でまとめる!」と決めることです。まとめるポイントはこの5つ。
①目的を明確にする
②相手の知りたいことを考える
③前提条件を揃える
④5W1Hを明確にする
⑤シンプルな型を持つ
伝える相手にどんなアクションを期待するかを考えて、資料を作成することで、より効率の良い仕事が出るようになります。何度も繰り返し、実施していく事でどんどんシンプルにまとめられるようになっていきます。皆さんの悩みの種である資料作成をシンプルな型で効率的な仕事に変えていきましょう。
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